真の宗教(3/8):神と創造

神の御意にすべてを委ねることは崇拝の根幹を成すものであることから、神の宗教であるイスラームの根本的メッセージとは、神のみを崇拝し、神以外のいかなる人物、場所、物も崇拝してはならないというものです。あらゆる被造物を創造した神以外のすべてのものは被造物であるため、本質的にイスラームは、人が被造物を崇拝することから遠ざけ、創造主のみへの崇拝を呼びかけるものであると言えます。神こそが、その御意から祈りにお答えになるのであり、かれこそが人間の崇拝に値する唯一の存在なのです。

たとえば、もし誰かが木に祈りを捧げてそれが叶えられたとしましょう。その祈りを叶えたのは、そうした状況を許した神なのです。「そんなことは当然だ」と言う人もいるでしょう。しかし木々を崇拝する人々にとってはそうではありません。同様に、イエス、ブッダ、クリシュナ、聖クリストファー、聖ユダ、さらにはムハンマドに捧げられる祈りは、彼ら自身ではなく、神によって答えられているのです。イエスはその追従者に対し、彼自身ではなく、神を崇拝するよう言ったのです。クルアーンではこう述べられています。

 “またアッラーがこのように仰せられた時を思え。「マルヤムの子イーサーよ、あなたは『アッラーの外に、わたしとわたしの母とを2柱の神とせよ。』と人びとに告げたか。」かれは申し上げた。「あなたに讃えあれ。わたしに権能のないことを、わたしは言うべきでありません。(クルアーン5:116)

イエスが崇拝を捧げていたのは自分自身へではなく、神でしたし、イエスは福音者においてこう述べたことが報告されています。

 “イエスはお答えになった。「『あなたの神である主を拝み、ただ主に仕えよ』と書いてある。」”(ルカ4:8)

開扉章として知られる、アル=ファーティハ章の第4節には、基本的原則が示されています。

 “わたしたちはあなたにのみ崇め仕え、あなたにのみ御助けを請い願う。”(クルアーン1:5)

最終啓示であるクルアーンでは、他にも神によってこう述べられています。

 “それであなたがたの主は、仰せられる。「われに祈れ。われはあなたがたに答えるであろう。」”(クルアーン40:60)

イスラームの根本的な教えには、神とその被造物が全く異なる存在であるということが宣言されているということも強調に値するでしょう。神は被造物と同等でもなければその一部でもなく、また被造物は神と同等でもなければその一部でもないのです。

このことはごく当然に映るかもしれませんが、人が被造物を崇拝しているのは、その殆どがこの概念に対する無知・無視に基づいたものです。それは、神の本質はあらゆる被造物においてみてとれるという迷信、または神はその被造物の中にも存在しているという迷信なのです。それは神の被造物を崇拝し、それ自体が神への崇拝であるとの主張を正当化させたのです。しかし神の預言者たちによってもたらされたイスラームの教えは、神のみを崇拝し、直接的・非直接的に関わらず、被造物の崇拝を避けるということなのです。

クルアーンの中で、神は明確にこう述べます。

 “本当にわれは、各々の民に一人の使徒を遣わして「アッラーに仕え、邪神を避けなさい。」と(命じた)。”(クルアーン16:36)

もし偶像崇拝者たちに、なぜ人の手によって作られたものにお辞儀をするのかと問えば、彼らは必ずと言っていい程、彼らの崇拝の対象は石像そのものではなく、それが象徴する(またはそれに内在する)神であると主張します。彼らは、石像は単に神の存在を象徴するものであり、神そのものではないと言うのです。神が被造物の中に何らかの形で存在しているという概念を受け入れた人物は、必ずこの偶像崇拝に関する主張を認めなければならなくなります。しかし、イスラームの基本的な教えを理解する人物は、いかにそれが合理的に説明されようとも、決して偶像崇拝を認めたりはしないのです。

過去に自らの神格性を主張してきた者たちは、神が人の中に宿るという間違った信条をもとにその主張を正当化してきました。彼らは自分たちが霊感に優れており、他の人間は彼らに服従し、彼らを神の化身として崇拝するよう主張します。同様に、特定の人々の死後にそれらの人々の神格性を主張してきた者たちは、神が人に宿るという間違った信条を受け入れた人々に対し、自らの主張を正当化することが出来なかったのです。

ここまでで、イスラームの基本的な教えを理解した人にとっては、いかなる状況においても他の人間を崇拝することに合意することは決して出来ないということが理解出来るようになったはずです。神の宗教の本質とは、創造主への崇拝を呼びかけ、被造物への崇拝を否定することなのです。次は、イスラームのモットーの意味です。

 “ラー・イラーハ・イッラッラー”(唯一なる真実の神以外に、神はない)

このフレーズを真摯に宣言し、預言者の存在を認めるのであれば、それは自動的にイスラームへの入信となり、それを心から信じることは天国が保証されます。それゆえ、イスラームの最終預言者(彼に神の慈悲と祝福あれ)は次のように述べたことが報告されています。

 “誰であれ、「唯一なる真実の神以外に神はない」と言い、それを信じつつ死んだ者は、天国に入るのだ。

この信仰宣言を信じることには、神の預言者たちが教えた方法で自らの意思を神に服従させる必要があります。また、それには偽の神々の崇拝を止めることが求められます。

 

真の宗教(4/8):偽宗教の教え
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